透きとおった陽光とコナラやケヤキの落葉が降り注ぐ晩秋の2日間、東京は吉祥寺の井の頭自然文化園で「ヤマネコまつり―ツシマヤマネコを知ろう」が開催され、どうぶつたちの病院は「ヤマネコテント広場」にブース出展しました。
「ヤマネコまつり~ツシマヤマネコを知ろう~」
◆2010年11月20日(土)、21日(日)
◆井の頭自然文化園
ヤマネコテント広場には、ツシマヤマネコの保護活動をしているグループや個人が大集合して、活動の紹介やツシマヤマネコの保護活動を後押しする商品の販売を行いました。ツシマヤマネコの生息地である対馬からは、着ぐるみの『たまひめ』もやって来ました。
ツシマヤマネコの飼育下繁殖に取り組み、5頭のツシマヤマネコを飼育している井の頭自然文化園のブースでは、「ヤマネコかんさつシート」を使ったヤマネコウォッチング、実物大実重量のヤマネコぬいぐるみを使ったヤマネコスポットガイド、「ヤマネコ新聞」の配布、新しく来園したツシマヤマネコの愛称募集などを行いました。
野生のツシマヤマネコが唯一生息する長崎県の対馬からは、対馬市とツシマヤマネコ応援団が出展して、ツシマヤマネコが棲む森や田を育てる活動などを紹介し、ツシマヤマネコが餌を狩りにやってくる田んぼで収穫されたお米を販売しました。
多摩動物公園野生動物保全センターと日本獣医生命科学大学野生動物教育研究機構は、それぞれの機関が取り組んでいる、ツシマヤマネコの繁殖や成長に関わる研究の成果発表をしました。野生下では調べることのできないヤマネコの秘密を、動物園で飼育されているツシマヤマネコを探ることで究明しています。
どうぶつたちの病院はツシマヤマネコの生息地である対馬の北部に対馬動物医療センターを置き、イエネコからツシマヤマネコへの感染症対策や、交通事故などで救護されるツシマヤマネコの診療に取り組んでいます。この活動とツシマヤマネコのことをたくさんの人に知っていただき、支えていただくために、ツシマヤマネコのオリジナル商品を制作・販売しています。
また、ツシマヤマネコの保護活動と同時に行っている、小笠原諸島の野生動物を守る活動を紹介し、2月20日(日)東京で開催される小笠原シンポジウム『いのちつながれ小笠原』(主催は(社)東京都獣医師会)のお知らせをしました。
Stamp zooのブースでは、消しゴムはんこ作家の松野由起子さんが製作したどうぶつの消しゴムはんこを、まっさらなエコバッグに好きなだけ捺して、自分だけのエコバックをつくる「はん消し捺しほうだい」が行われ、みんな夢中。アジアゾウのはなこをはじめ、ツシマヤマネコ、ハクビシン、ツシマテンなど井の頭自然文化園で飼育されているどうぶつたちもたくさん登場しました。
麻布大学の童遊会が、このヤマネコまつりのために『ツシマヤマネコ人形劇団』を立ち上げ、書き下ろしの台本でツシマヤマネコを主人公にした人形劇を公演しました。ツシマヤマネコの体の特徴やイエネコとの見分け方、イエネコとの餌の競合、交通事故、イエネコからの感染症などツシマヤマネコを取り巻く問題を題材として、クイズを織り交ぜながらの大熱演にこどももおとなも引き込まれました。
ヤマネコテント広場横には、特設のステージが設けられ、トークショー『ヤマネコについて語ろう』が行われ、多くの入園者が足を止め、聞き入っていました。対馬市職員でもあり、ツシマヤマネコ応援団員でもある玖須博一さんをゲストに、一日目は冨田恭正副園長と、二日目は成島悦雄園長と繰り広げられた対談は、客席から寄せられたたくさんの質問に即答する形で話が弾み、ライブ感に満ちて、ツシマヤマネコや対馬のことを身近に思えるひとときでした。
公開中のツシマヤマネコ、トラジロウ舎の前では、飼育を担当する佐々木真一さんが、飼育されているヤマネコの生情報や生息地での状況をパネルや写真を駆使して解説し、当のトラジロウもお目見えしました。ヤマネコの特徴である「虎耳状斑(こじじょうはん)」にご注目ください。