2011年1月13日に長崎県全域で放送された報道番組「長崎EYE 610」
のズームアップ(特集コーナー)で、どうぶつたちの病院対馬動物医
療センター院長の越田雄史獣医師がズームアップされました!
「ヤマネコを守れ!対馬市の新対策」と題して、対馬市が2010年7月
に策定した条例の内容とその実行部隊の要として奮闘する越田獣医師に
ついて、およそ6分間にわたり紹介されました。その概要をお知らせし
ます。
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対馬市は2010年、「対馬市ネコ適正飼養条例」を定め、対馬に100頭
前後しか生息していないといわれるツシマヤマネコを絶滅から守るため、
餌資源などで競合するネコの頭数を増やさないよう、飼いネコについて
は全頭を対象にマイクロチップ登録および屋外飼育の場合の不妊・去勢
手術を義務づけた(※1)。マイクロチップ処置と手術の費用は九州地区
獣医師会連合会などが全額補助しており、対馬市民の負担はない。
いまだ条例に対する市民の認知度が低いなか、越田獣医師は、動物病
院での診療のかたわら市内の集落をまわって、条例やペットの適正飼養
の普及をしながら、飼い主から依頼のあった飼いネコや捨てネコを捕獲
して動物病院に連れて行き処置している。
さらなる懸念として、市民が飼育するネコにネコ免疫不全ウイルス
(通称:ネコエイズウイルス)への感染が見つかっており、発症した場
合の治療法が確立していないため、万一このウイルスがツシマヤマネコ
に蔓延すれば絶滅の恐れを一気に高める可能性がある。感染が確認され
たネコのうち、飼い主が室内飼育できないものは野外に放せず、飼いネ
コ以外はやむなく同動物病院で保護することもあるという(※2)。
越田獣医師は言う。「とにかくやるしかない。ヤマネコが安心して暮
らせる場所を取り戻すことは、われわれの責任だと思う。」淡々と飾ら
ない言葉の裏に強い意思を感じさせる。
一方、環境省では、ツシマヤマネコについて、これまで全国の動物園
と協力して飼育下繁殖に取り組んでおり、平成23年度には野生復帰を目
指した事業を本格化させ、野生復帰施設の設計に着手するとしている。
■補足
※1:ネコはもともと対馬には生息せず、人間が持ち込んだ外来生物。
※2:対馬市の飼いネコの約10%にウイルス感染が確認されている。また
過去に3頭のツシマヤマネコへウイルス感染が確認されている。