皆さま
ご無沙汰しております、職員太田です。
先日東京で開催された第29回日本飼育技術学会に参加してきました。
昨年より顔を出し始め今年で2回目の参加となりました。
今回のテーマは「繁殖と栄養」で、日本全国の動物飼育関係者が集まり大盛況でした。
ざっくりと今回の学会テーマである繁殖に関しては主に海獣類・鳥類・大型哺乳類の繁殖時でのトラブルや回避の方法、妊娠鑑別について。栄養に関しては主に繁殖時に特に重要になる栄養や、各栄養がどの様な影響を与えるかについてのプレゼンが行われました。
そして参加した感想は…
勉強になった!っという至極当たり前のものでして、各プレゼンの一つ一つの内容が濃いのでブログで説明するのが難しいです…
個人的にですが学会後に、ある関係者とお話しした時に聞いた「動物種にあった飼育施設は飼育員がデザインするべきだ。」という言葉が今の自分には最も印象に残りました。
国内で展示される動物種は様々で、極端な話ですが北極に近い場所で生息する種から、赤道直下で生息する種まで飼育されています。
自分はツシマヤマネコの飼育員なので国内生息の2種のヤマネコで例えると…
イリオモテヤマネコとツシマヤマネコはどちらも日本の離島に生息するベンガルヤマネコを始祖とするヤマネコですが生息環境は驚くほど異なります。
名状しやすい気温だと以下のようになります。
西表島(イリオモテヤマネコ) 対馬(ツシマヤマネコ)
年間平均最高気温23.7℃ 年間平均最高気温15.7℃
年間平均最低気温21.4℃ 年間平均最低気温13.4℃
気候区分だと西表島は亜熱帯海洋性気候(気温のみなら熱帯雨林気候相当)で対馬は海洋性気候となります。時々勘違いされるのですが対馬って案外涼しいんです。
生物は生き残るため環境に適応進化していますので、スペシャルな体をしています。ツシマヤマネコだと冬の厳しい寒さに負けぬように換毛が起こり冬場はモフモフな被毛になります。逆にイリオモテヤマネコだと年間通して気温が高く必要以上に体温を上げぬように年間通して被毛は短毛です。
逆説的には適応した結果、域内に生息する動物にとって必要不可欠な環境になっています。ですので、動物を飼育する場合、環境の再現や生息域内での生態を知っておかないと動物のエンリッチを高めるのが難しいのです。
イリオモテヤマネコやツシマヤマネコは生態としてまだ解明されていない部分が多くありますので完璧な飼育管理をするのは非常に難しいと感じますが、少しでも快適な環境を再現できるように努力を続けたいと思います。
改めて学会に参加してプロフェッショナルな話を聞けて勉強になりました!!