皆さま
こんばんは。職員の太田です。
いきなりですが「鳶」に関する言葉をいくつご存知でしょうか?
・鳶に油揚さらわれる
・鳶の巣立ちのよう
・鳶も居ずまいから鷹に見える
・鳶が空に輪を描けば晴天の兆し 等々
ことわざから民間伝承の一部、故事などでも登場します。
調べてみるとびっくりするほど登場しますが基本的にはネガティブな事柄を表す言葉に登場する場合が多いです。理由としては猛禽類という生態系上位の高次消費者でありながら、腐肉食傾向が強いので他の狩りをする猛禽類と比較し、浅ましく見えてしまうからなんだとか…
散々な言われを受けている鳶ですが、対馬での生息密度はびっくりするほど濃いです。
山の中から河川、海沿いどこにでもいます。どこにでもいるのであまり注目してもらえませんが、今の時期は丁度巣立ちのシーズンで綺麗な若鳥を見ることが出来ます。
今日もヤマネコセンターからの帰り道で若鳥が電柱にとまって鳴いていました。
英名では「Black Kite(黒い凧)」と呼ばれるだけあって成鳥になると渋めな暗色になりますが若鳥の羽色は黒と白のコントラストが美しいです。
文頭から地味だの浅ましいだのと言われていると書きましたが、日本にとっては逸話のある鳥でもあり、日本書紀では神武天皇の前に降り立った金鵄(きんし)で建国に関わる霊鳥とされています。そして、日本に生息する猛禽類の中では唯一の普通種で近代でも個体数を維持し続けています。ある意味では日本に生息するどの猛禽類よりも種としては強いのかもしれません。
日本建国に関わりのある霊鳥で現在も繁栄している種だと聞くと、見慣れた鳶も輝いて見える気がしませんか…?