ツシマヤマネコの生態研究を目的として、2023年1月から追跡調査が行われていた
「パック」についてのお知らせです。
※パックの保護・追跡の経緯はこちらから↓
6月上旬の検査捕獲以降、落ち着ける場所を探すようにあちこちを行ったり来たりしていました。
集落に近づくときもあれば、静かな沢のある谷で休む日も。
姿は見えないものの、これまでとは少し違った様子だなと感じていました。
7月下旬からとある海沿いの谷に留まるようになり、1週間ほど動きがなかったため現地を確認しに行ったところ、
8月7日に死体を発見しました。
↑パックが見つかった場所。発見時には骨と毛皮がわずかに残っているのみでした。
最後は最寄りの民家から数百メートル離れた木陰で眠ったようです。
肉体は循環する命の1つとして、生まれ育った対馬の大地に帰っていました。
彼が野生動物としてあるべき命の終わり方を迎えたことに安堵しつつ、その生き様への敬意や、
与えてくれた経験・地域の方とのご縁への感謝など、色んな気持ちがこみ上げてきました。
推定年齢12歳と4か月。野生下で生きたツシマヤマネコでは最も長い記録となりました。
また、部分的な断脚があった右前肢の状態が悪化することなく1年6か月を生き抜いたことも重要な知見です。
今後はこの調査結果を論文として残すための作業を進めていきます。
本当にありがとう、パック。どうか安らかに。
蔭浦