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鶏小屋被害対策2024

こんにちは。職員の蔭浦です。

対馬では紅葉のピークを終え、いよいよ冬らしい冷たい風が吹き始めました。

 

毎年この時期は、島内のあちこちで鶏小屋の侵入被害が発生しやすくなります。

ツシマテンとツシマヤマネコが加害動物になっていることがほとんどであり、被害に遭ってすぐに鶏小屋の補修をしなければ、

翌日以降も連続して被害が出てしまいます(付近にいる加害動物は1頭とは限りません)。

しかし、人手不足であったり侵入箇所の把握ができなかったりという理由から、修理が遅れてしまうことが多いようです。

 

そこで・・・

今年10月、11月に鶏の被害が出た2件について、ヤマネコセンターの職員(環境省)と当法人の職員とで被害対策のお手伝いをしてきました。

 

新しい鶏小屋の設置をお手伝い

1件目は、昨年度以前から小屋の部分修繕をお手伝いしていたお宅です。

ほんの一晩、扉の施錠が甘かっただけでしたが、十数羽いた全ての鶏が殺されてしまいました。

これまで使っていた小屋の木製の扉は劣化して歪んできていたため、オーナーの方と相談し、これを機に新しい小屋を建てることになりました。

  

インターネットで購入したステンレスフレームの小屋をベースに、4人掛かりで組み立て作業を実施。

 

付属の素材だけでは心もとない部分は、皆で知恵を出し合いながら使える素材を活用して補強しました。

 

↑完成した新しい鶏小屋。

日中は放飼場を散歩させて、夜だけこの小屋に鶏が収容される予定です。

果たして本当に侵入されずに飼えるのか、実際に飼育し始めてからも気が抜けません。

 

侵入経路探し

もう1件は養鶏場で、今年7月から被害が続いていたのですが、小屋の規模が大きく侵入箇所がわからないのが大きな悩みでした。

当初からヤマネコセンターの職員が自動撮影カメラを設置して侵入経路探しを行ってきましたが、

怪しい箇所のモニター・補修を繰り返すものの侵入を防ぐことが叶わず、11月までに60~70羽近い被害が出てしまいました。

 

私たちも侵入経路探しに繰り返し同行し、被害が出るたびに側面や屋根の上を何度も点検しました。

しかし、「ここだ!」という箇所がなかなか見つけられません。

 

↑現地のカメラチェック時、侵入していたヤマネコに遭遇。体の大きな成獣でした。

 

こんな大きな体格のヤマネコでも入れる穴が確実にあるのに、見つけられない。。。

繰り返し訪問しながらも解決に至れず、養鶏場の方にも非常に申し訳なく思いながら、もどかしい時間が続きました。

 

最終的には、トタン屋根の一部のビスが取れて浮いている箇所があることがわかり、そこを塞いでからは被害がなくなりました。

 

↑侵入していたと思われるトタンの隙間(ビス固定後の状態)。よく見ると、ここだけに噛み跡が残っていました。

 

いずれの対応についても、ひと段落はしましたが今後のフォローアップが必要です。

来年も再来年もその先も、野生動物とともに暮らす場所ではずっとこのような「知恵比べ」が続きます。

 

今回の対応では、現地での観察眼不足、モニタリングの計画立てが不十分であったなど、反省が多々ありました。

よりスムーズな解決ができるよう、この経験を次に生かしていきたいと思います。

 

蔭浦