皆さま
こんばんは! 職員の太田です。
ついに対馬にも降雪があり、一年で最も寒い時期に突入しました。
対馬ではよく旧正月が一番寒いと言われますので、今から一か月程度が寒さのピークとなります。
寒い寒いと家に籠って過ごすようなタイプではなく、表題の交流会への招待もありましたので鹿児島県の出水に行ってきました。
対馬よりかなり南に位置していますので少しは暖かいと思っていましたが、出水周辺の山々には薄っすらと積雪が見られました…

今回、参加させてもらったツルの分散に関わる交流会はサントリーさんの助成金で招待して頂きました。出水に集合後、クレインパークに移動し日本生態系協会の関さんより、出水でツルの保護が行われた経緯と、今後ツルの分散が必要になる理由の説明をしてもらい、交流会がスタートしました。
交流会の中で、ツルの保護活動がもたらす教育的メリット、協力農家さんのリアルな声、市政からみたツルの越冬地という事を説明して頂きました。これはツルをヤマネコに置き換えると対馬で行っている教育普及や地域共生米の栽培に通じる話だと思えました。
ツルの保全活動がもたらす教育的メリット
出水ではツルガイド博士制度というものがあり、小学校3年生~中学校3年生までの生徒を対象にツルに関するテストを行いテストの上位者をJALと協賛し観察センター等でガイドを行うそうです。また、ツル博士になるとJALから専用の制服(上着)を貰い、それを着用しビジター対応をするそうです。ツルガイド博士になるには、超難問であるツルに関係するペーパーテスト100問で9割の正解とビジター案内のテストが行われ両方で合格することでツル博士になれるそうです。突破率は1~1.5%程度だそうです…

試しにつツルガイド博士のテストの内容を確認してみましたが、ツルの分類、形態的な特徴だけでなく出水での保全の歴史なども出題されており、地元の歴史を学ぶという意味でも以上に面白い取り組みだと感じました。テストの内容は出水市のHPで公開されておりますので興味のある方は確認してみてください。※テストPDF※
対馬と比較し取り組みとして似ていると感じたのは対馬市内で行われる交通安全ポスター展で小学生~中学生がツシマヤマネコ交通事故防止ポスターを作りながらツシマヤマネコの交通事故の現状を知って貰うという取り組みです。
ツルガイド博士のようなテストを行い、ヤマネコセンターでヤマネコガイド博士がビジター対応するのも良いのではないかと感じました。
交通事故以外の種の減少要因やヤマネコを取り巻く現状を若い世代にテストを受けることで普及させていく…
出水での活動を模倣という形にはなりますが、仕組みさえ出来ればやれそうな気がします。
農家さんのリアルな声
対馬では聞くことのできない保護対象動物からの食害やトラブルが多数あるようでした。
- ツルが一カ所に大量に集まることにより、畑の畔が崩壊してしまう。※指定範囲内の復旧作業は監督行政からの補助金で行う。
- ツルの飛来に合わせて稲刈りを終わらせなければならず時間的な制約が出来てしまう。
- 北帰行前のツルは食性が変化し、畑のブロッコリー等も食べてしまい食害が発生している。
- ツル用の採餌に多数のカモが誘引され、鳥インフルエンザの発生リスクが増えてしまう。
- カモが増えると食用ノリ用のノリに対しての食害が発生してしまう。カモからの食害には保証がない。
- ツルを観察する観光客とのトラブルが発生していた。※現在は交通規制をしたのでトラブルの発生率は低下。
はっきり言って農家さんにとってはツルが出水に集まり越冬することにメリットはなく、ツルが出水を選ぶからしょうがないという感じで受け入れているということでした。出水は全国有数のクオリティの高い農業生産物が取れる地域で、地域共生米等のような付加価値を付ける必要がないそうです。ツルがいなければ今よりも豊かになれるが、ツルがいるから仕方がないという事でもありました。
干拓で広がった広大な大地は、ツルにも魅力的ではありますが今後も今の数のツルを出水に集め続けることは農家として無理だと思われるので、適正な頭数に分散してくれることを祈りたいという事でした。
市政から見たツルの越冬地
出水市としてはツルが出水で越冬することを観光資産ともとらえ、積極的に観光戦略に組み込んでいるということでした。ここ最近だとツアー客を対象にしたガイド事業や、海外特に欧米の方を対象にしたツアーも考えているということでした。
欧米のツアーだと出水の越冬内を観光→釧路でタンチョウツルを観光→東北で世界最北限のニホンザルを観光という観光コースが流行っているそうです。また、ツルが飛来する韓国や台湾と都市協定を結び、アジア圏からの観光客誘致にも力を入れているそうです。
ツルの北帰行時に、JALの飛行機でツルの群れと並走するというスペシャルフライトも行ったことも…
対馬市におけるヤマネコ保全との違い
個人的に感じる対馬市との違いを考えてみると、哺乳類と鳥類なので減少要因や保全方法には大きな違いがありますが考え方の違いが最も大きいと感じました。出水市の方が積極的に利用しようとする動きが強く、利用することにより保護に関わる様々な費用を捻出しているようでした。もちろん、出水市単独で全てをカバーすることは難しいので文化庁、環境省と協力して行ってはいるようでしたが、出水市が引っ張っていくような気概を感じました。
気概を感じる要因は何なのだろうかと考えると、言葉にするのが難しいのですが、ぱっと考え付くのは保護地域となっている地元住民(主に関係する農家さん)の活気なのではないかと思いました。農家さんからすると、国内有数の農耕地で金銭的な面でツルを保全するメリットが殆どないので、地元の意見をしっかりと行政に伝え、行政も意見に対して答え(保証等)をだすということを続けています。そして、話し合いの結果を次世代に繋げられているというのが地元の活気を象徴しているように感じました。
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気概を感じる要因は何なのだろうかと考えると、言葉にするのが難しいのですが、ぱっと考え付くのは保護地域となっている地元住民(主に関係する農家さん)の活気なのではないかと思いました。農家さんからすると、国内有数の農耕地で金銭的な面でツルを保全するメリットが殆どないので、地元の意見をしっかりと行政に伝え、行政も意見に対して答え(保証等)をだすということを続けています。そして、話し合いの結果を次世代に繋げられているというのが地元の活気を象徴しているように感じました。言うが易しとは思いますが、地元と協力するような体制を今一度作り出す必要があると感じました。