こんにちは、職員の蔭浦です。
毎年のことながら、あっという間に年度末になりました。
大きく何かを進めることはできなかった1年でしたが・・・微々たる進歩はあり(猫の採血が何とかできるようになりました)。
来年度も立ち止まらないよう、1つずつできることから取り組んでいけたらと思います。
さて、今回は私の研修報告です!
3月上旬に環境省の方々と一緒に西表島を訪問してきました。
目的は、交通事故対策の実例を現地で見学させていただき、対馬での事故対策の参考にしようというものでした。
西表島と対馬の違いは?
西表島は面積284㎢、人口2400人程と、小さな島です。
対馬の半分程(下島に近い)の面積に、10分の1程度の住民が住んでいます。
交通網はいたってシンプルで、島の北部海岸線に沿って西部と東部を結ぶようにつくられた1本の幹線道路、「白浜南風見線」が主要道となります。
しかしながら、住民の生活の支えとなったこの1本の道路では、様々な希少動物のロードキルや生息地分断が起きてしまうリスクが発生ました。
この状況を受け、沖縄県八重山土木事務所の事業として1995年から「白浜南風見線エコロード事業」が始まったそうです。
以降現在に至るまで、沖縄県・環境省を中心に地域のボランティアも巻き込みながら、「人にも自然にもやさしく」をテーマに、
道路構造の工夫や対策の検証、維持管理を進めてこられたということです。
事故対策の実例見学
今回の視察には長崎県の対馬振興局道路課・自然環境課の方も参加され、具体的な事業の進め方や予算についても質問されていました。
これまで対馬では、アンダーパス(道路下の暗渠)や、「ネコ走り(大型の暗渠の両脇に、水没しない細い道を付ける)」など、
実施されてきた事故対策もありますが、島内を走る県道、国道の総距離に対してはごく限られた場所にしか作ることが難しく、
地形の要因から同じ場所で何度も事故が起こってしまうことが続いてきました。
視察の中で最も印象的だったのは、ドライバーへの呼びかけや啓蒙活動ももちろん盛んに行われていましたが、
「生息地分断や環境改変を最小限にして、道路に出にくくする」という、ハード対策がかなり強固に進められていたことです。
見学当日も、観光客のレンタカーが路肩に乗り上げて「ヤマネコ飛び出し防止用フェンス(目の細かいネット状のもの)」の支柱が
曲がってしまっていましたが、速やかに業者へ連絡がされ、その日の午後には完全に復旧していました。
このスピード感のある連携体制に驚くとともに、ごく簡単な構造であるがために維持・復旧にかかるコストが上手に抑えられていることも印象的でした。
西表野生生物保護センターも見学
環境省の西表自然保護官事務所の方々に、事故対策などのレクチャーをしていただき、館内を案内していただきました。
最近リニューアルオープンされており、わくわくするような館内展示にみんな大興奮でした!
センターのHPには目撃情報入力フォームが導入され、情報発信が頻繁に行われており、これも先進的で感銘を受けました。
対馬もいつかこんなふうにできたらいいなぁ、と切に思います。
西表島を訪れる機会があれば、ぜひみなさんも西表のヤマネコセンターへお立ち寄りください!!
石垣島のカンムリワシ保全活動
また、帰路にて石垣島を経由することから、環境省石垣自然保護官事務所の方のご案内で
カンムリワシの保全対策についてご紹介いただく機会を得ました。
「石垣島の住民とカンムリワシ」の関係性は、「対馬の住民とツシマヤマネコ」のそれと近い印象をうけました。
石垣島は発達した市街地があり人口が多く、複数の道路と山林が入り混じって存在する地形となっており、
ハード面の事故対策はこれからも積極的に進めていく必要があるそうです。
カンムリワシは石垣市のキャラクターにもなっており、みんなその存在や名前は知っているけれど
何を食べて生きているのか、いつ卵を産むのか、どんな暮らしをしているのか、などは未だ知らない方も多いそうです。
そこで、ちょうどこの時期(3月:繁殖や営巣が始まる時期)は、「カンムリワシ週間」というかたちで
写真展やパネル展を行ったりしながらカンムリワシに親しんでもらう取り組みも行っているとのことでした。
まずは対馬の「現在地」を知る
対馬に住み慣れてしまうと、1年の間にヤマネコの事故が起こるのは当たり前のような感覚になってしまっていました。
【無事故】がスタンダードになっている西表の民宿の店主とお話すると、「今年は事故が多いみたいでね~、1件起きてしまったよ」と
おっしゃられたのを聞いて、はっとしました。
対馬では交通事故が起きたら、チラシの配布やお知らせ、地区放送などを積極的に進めていますが、
目撃情報を基に事前の注意喚起を行い、事故を起こさないことが一番大事なことです。
まだその体制や仕組みが整っておらず、飛び出し注意は狭い範囲での告知しかできていません。
環境省だけでもNPOだけでもうまくできないことであり、協力してできる方法を模索する必要があると感じました。
一方でうまく体制ができている側面として、治療した後で野生に帰すことができないツシマヤマネコには、動物園という受け皿があることです。
域外保全事業があったことで、飼育のノウハウや施設が整っている園が複数あり、これに関しては恵まれている状況なのだと気づきました。
カンムリワシやイリオモテヤマネコでは、引き取れる施設が少なく、同時期の保護や終生飼養の個体が発生すると
飼育できるケージがなくて苦労されていると伺いました。
本当は、いづれ保護されてくるツシマヤマネコがいなくなるとよいのですが、毎年必ずといってよいほど人為的な要因で保護や死体収容があります。
現場で見ていて気付くことはなるべく何かしらの対策につなげられるように、行政の方々とも相談しながら連携を強くしていきたいと思います。























