世界自然遺産のひとつである小笠原諸島で、希少野生動物保護のため、下記の活動に取り組んでいます。 (2011年6月、正式に登録されました)
外来動物であるネコ(※)が、アカガシラカラスバトやハハジマメグロ、オガサワラトカゲなど小笠原固有の野生動物や小笠原で繁殖する海鳥やアオウミガメたち、長旅の途中に休憩する渡り鳥に、直接捕食するなどの被害を及ぼしています。こうした問題の解決に向けて、対策の基礎となるネコの飼育実態と集落内のネコの生息状況を把握するために、2007年に母島で、2008年に父島で「どうぶつ調査」を獣医師が行いました(環境省委託事業の一部として)。
※「外来動物であるネコ」について補足説明:紀元前より人間に家畜化されてでき
た種であるイエネコ(Felis catus)は、生態系の中では外来生物であり、その優
れた狩猟能力により世界各地で野生動物の生存を脅かす存在となっています。
外来動物であるネコが、小笠原の野生動物に被害を及ぼしている実態や、小笠原の生物多様性を守るために山域のノネコを捕獲し島の外へ引越しさせる島民の活動、そして引っ越した先の動物病院((社)東京都獣医師会の有志)で家庭動物としての生活を取り戻したネコたちの様子など、小笠原の自然とネコを守るための人々の取り組みを伝えるパンフレットやポスターの制作に協力しました。
(パンフレットは環境省小笠原自然保護官事務所により島内全戸に配布されました。
パンフレットのお問い合わせ先:http://kanto.env.go.jp/to_2008/0423a.html)
2008年10月、2009年7月、(社)東京都獣医師会が小笠原動物医療団を派遣し、小笠原ネコに関する連絡会議(※)と小笠原諸島自然環境保全機構とが共催で、父島、母島において出張診療を行いました。これにあたり、どうぶつたちの病院は、現地に獣医師を置いて受け入れを支援しました。この出張診療では、家庭動物の診療を行う獣医師が母島にひとりいるだけの小笠原に、動物医療団を派遣して家庭動物(ペット)の健康診断や飼育相談とともに個体識別のためのマイクロチップ埋め込みや不妊化手術などを行うことで、家庭動物を適正に飼育することが家庭動物にとっても野生動物にとっても大切であることを呼びかけました。
※小笠原ネコに関する連絡会議:環境省小笠原自然保護官事務所、小笠原総合事務所国有林課、東京都小笠原支庁、小笠原村、小笠原村教育委員会、NPO小笠原自然文化研究所